公務員のテレワーク『一般化』は時期尚早
(出典:pixabay)
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、公務員の中でもテレワークが急速に広まっている。
コロナ前は、公務員のテレワークといえば、育児中の女性や、親の介護を行っている者などに限られていたが、コロナ禍となってからは、感染拡大防止策の一つとしてテレワークを実施するのが一般的になった。
私の職場では、この一年で、Microsoft teams、カチャット、モバイルパソコン、ポケットWi-Fiなどテレワークを実施する環境が急速に整備され、一部の職員は問い合わせや来客対応等で出勤する必要があるが、物理的には7割以上の職員がテレワークを実施しても問題ない環境が整った。
しかし、アフターコロナとなった際に、公務員の世界でテレワークが一般的になるかというと、それ以外の仕事の仕組みを変えない限りはやはり難しいと言わざるを得ない。
理由は、公務員の仕事が「メンバーシップ型」だからである。公務員の場合は、この人は大卒の〇年目の職員だから、給料がいくらというふうに、その人の仕事の役割ではなく、人に給料が紐付けられている。
そのため、もともと担当する業務というのは決まっているものの、個人がどこまで仕事をするかという線引きが極めてあいまいなのである。
例えば、民間の営業職の人だと、テレワークをしていようがしてなかろうが、営業売上という明確な成果指標があるから良いが、公務員は明確な成果指標で表せるような仕事をしている人は少ないため、テレワークを実施した日にその人がどういった業務をやったかということを管理するのが難しいのである。
テレワークを活用して新しい働き方を目指すという方向性は間違ってはいないが、「ジョブ型」の導入をはじめ、公務員の世界も働く仕組みも変えていかない限り、テレワークの『一般化』というのはまだ時期尚早だろう。
メンバーシップ型
- 配属、勤務地、勤務時間、キャリア設計 → 会社が決める
- 仕事内容、ゴール設計 → 不明確
- 成果 → 年功序列がベース
- 給料 → 人に紐付く
ジョブ型
- 配属、勤務地、勤務時間、キャリア設計 → 自分が決めて会社と合意
- 仕事内容、ゴール設計 → 明確
- 成果 → 目標達成がベース
- 給料 → 各仕事・役割に紐付く