離職防ぐには「労働価値」がポイント
- 就職を考えているが、どういう業界のどのような会社が自分に適しているのかわからない。【学生、転職を考えている人】
- 採用後、職員がすぐにやめてしまう。【会社の人事担当者】
このような悩みを抱えている学生、もしくは、企業の人事担当者は多いのではないでしょうか?
このような悩みを解決するのに参考となるのが、「労働価値」という考え方です。
目次
労働価値とは
もしあなたが「働く理由はなんですか」と問われたら何と答えるでしょうか?
例えば、私であれば、「世の中を少しでもよくできる仕事をして社会貢献したい」、「やりがいのある大きな仕事をして充実感を得たい」と答えます。
このように「働く理由」、「働く上で大切にしたいこと」のことを「労働価値」と言います。
それでは、「労働価値」には具体的にどのようなものがあるでしょうか?
米国の心理学者でキャリア研究者であるドナルド・E・スーパーの『14の労働価値』(仕事の重要性研究、Work Importance Study)において、次のように具体例が示されています。
皆さんはこの中でどの価値観を重視するでしょうか?
学生など就職を考えている方であれば、自分自身の「労働価値」を、会社などの人事担当者であれば会社が学生などに求めている(雇用者に提供できる)「労働価値」を意識するのがポイントです。
就職する会社を選ぶコツ
例えば、自分の重視する「労働価値」が「ライフスタイル(自分が望むような生活をおこと)」の人が、就職ランキング上位で人気があるからという理由で、でやりがいのある大きな仕事ができるが、忙しく給料が良い会社に入ったらどうなるでしょうか?
もし仕事が忙しく、自分の思うように趣味などの時間が取れなければ、その人がその会社で働く満足度は高いとは言えないでしょう。
もうこんな仕事は嫌だと転職を考えるかもしれません。
就職する会社を選ぶときは、しっかりと自分の「労働価値」を自己分析して、自分自身の働く理由を理解した上で、自分の望む「労働価値」を雇用者に提供してくれる会社を選ぶことが就職する会社を選ぶコツになります。
離職しない学生を採用するコツ
一方、会社側の視点では「労働価値」をどのように考えればようでしょうか。
例えば、様々な関係者と関わり合いながら、利害を調整し業務を行う会社があったとします。その会社が、学生に求めている(雇用者に提供できる)「労働価値」は、「社会的交流性(様々な人々と接点を持って仕事ができること)」です。
採用面接で以下の状況で1人を採用する場合どちらを選べば良いでしょうか。
(Aさん)
説明が論理的で頭が良く、有名大学でいかにも優秀そう
※他者との交流経験が乏しい
(Bさん)
説明があまり論理的でなく、無名大学でAさんほどは優秀でなさそう
※人と接するのが好き
Aさんを採用してしまいそうなところですが、正解は「Bさん」です。
なぜなら、Bさんの「労働価値」と、会社が雇用者に提供できる「労働価値」が一致しているからです。Aさんを採用した場合は、「労働価値」のミスマッチが起こるので、後々、Aさんが離職する可能性は、Bさんに比べ高いと言えます。
このように、少し優秀ではなかったとしても、「労働価値」が一致する学生を採用することが、離職しない学生を採用するコツになります。
まとめ
- 就職に悩んでいる学生、離職に悩んでいる企業の人事担当者は「労働価値」に着目すると良い。
- 自分自身の「働く理由」、「働く上で大切にしたいこと」のことを「労働価値」と言う。
- 就職する会社を選ぶコツは、しっかりと自分の「労働価値」を自己分析して、自分自身の働く理由を理解した上で、自分の望む「労働価値」を雇用者に提供してくれる会社を選ぶこと。
- 離職しない学生を採用するコツは、少し優秀ではなかったとしても、「労働価値」が一致する学生を採用すること。
その他(参考書の紹介)
上記で述べたことは、「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?(上村紀夫、株式会社インプレス)に詳しく記載されています。
この本は、「組織の課題をどのように改善していけば良いか」のヒントが、経営コンサルタント・産業医として活動している著者の視点で詳しく記載されている本なので、企業の人事担当部局にいらっしゃる方には特にオススメの1冊です。
興味がある方はぜひご覧ください。